本件は、本来派遣業を行ってはならないと規定されている業種において、違法な派遣業を行っていたことを理由として、派遣先とされた代表者が逮捕・勾留された事件です。当番弁護士制度で、警察署で逮捕当日に面会し、そのまま依頼を受けました。
本件では、依頼者が、違法派遣を受け入れていたのか、それとも法律上許される業務委託契約(請負契約)として行っていたのか、という判断が非常に困難な事件でした。また、依頼者としても、どのような形態で業務を行っていたかという点は、逮捕前から警察に対して素直に供述しており、逮捕・勾留される理由が備わっているのかも疑問でした。
そこで、依頼者に対しては、取調に対するアドバイスを丁寧に説明し、また、できる限り早く身柄が解放されるように、資料を集めて、裁判所に対して身柄解放を求めました。結果として、身柄は解放されませんでしたが、最終的に不起訴処分を得ることができました。
身体拘束を解くことはできませんでしたが、解放に向けて様々な資料を収集し、その資料を活用しながら、最終処分に向けても、弁護人としての意見書を作成、提出しました。逮捕・勾留されてから起訴されるまでの間、弁護人は、捜査機関の証拠を見ることは原則としてできません。しかし、弁護人として、面会を重ねて依頼者を激励しつつ、収集できる証拠を集めることで、起訴・不起訴の判断に影響を与えることができることがあります。