本件は、交差点での事故により、交差点付近を歩いておられた被害者の方と、依頼者の車が衝突し、その結果、被害者が亡くなられた死亡事故の刑事事件です。
本件では、依頼者が対人補償について任意保険に加入していましたので、被害者のご遺族に対し、民事上は任意保険から適切な賠償金が支払われていました。依頼者は、様々な事情から、直接ご遺族の方に直接謝罪する機会がなかったため、ご遺族に対して謝罪のお手紙等を作成し、謝罪の機会を設けられるように努力しました。結果的に、裁判までに直接の謝罪をすることはできませんでしたが、裁判では、ご親族の方がお見えになり、裁判手続き終了後に、直接謝罪をする機会を持つことができました。裁判では、民事上の示談結果や作成した手紙を証拠として提出したり、配偶者の尋問などを行い、執行猶予判決となりました。
刑事事件では、過去に起こした事件の内容を変えることはできません。しかし、今回の事件のように、自らの不注意で重大な結果を引き起こした依頼者が、ご遺族にどのような態度で対応してきたか、また、現時点でどこまで反省しているか、ということを裁判所に伝えることは弁護人の役割として非常に重要です。